2021年9月16日(火) 13時 オンライン開催 
免疫細胞セッション プログラム・抄録

13:00 - 13:05   ご挨拶および本セミナーに関するご案内


​13:05 ‐ 13:50   「CAR細胞療法開発の3つの変革」

演者:珠玖 洋 先生
三重大学大学院医学系研究科 個別化がん免疫治療学分野 教授 / 三重大学 複合的がん免疫療法研究センター
 

≪講演概要≫
 

B細胞腫瘍に対するCD19CAR細胞療法の目覚ましい成功は、同様のアプローチに大きな期待を巻き起こしている。この分野が発展する為には、3つの大きな変革が必要と考える。
第一に、多くの固形がんに有効なCAR細胞療法の開発である。特異的標的抗原を認識するレセプター、CAR遺伝子による細胞活性化、そしてCARを発現する細胞群の開発、が必要である。現在広く試みられているアプローチから更に進んだ技術と科学の変革が必要である。
第二に、患者さんに投与する細胞作製の変革である。広く定着している手作りの細胞作製の大部分は、コンピュータ制御での自動化が可能であり、また厳密な閉鎖システムによる細胞調整法の開発は、多大な資金を要する細胞調整施設からの脱却を可能とする。その結果、人手を用いた細胞製剤の揺らぎ幅を改善し、また大胆な経費の削減へつながることが期待される。
第三に、現在の人手による細胞作製は、必然的に集中化した作業施設を必要とし、細胞作製の技術移転を困難にし、医療施設との連携や搬入等を制限する。結果、細胞製剤によるビジネスのかたちや海外進出を含めた展開を困難にしている。
これら3つの変革を念頭においた私共の取り組みにつき紹介させて頂く。

 


​13:50 ‐ 14:30  「NK「様」細胞GAIA-102の発見と臨床開発」

演者:米満吉和 先生|九州大学大学院薬学研究院 教授/株式会社GAIA BioMedicine取締役・CSO/CTO

≪講演概要≫

血液がんに目覚ましい薬効を発揮した自家CAR-Tであるが、製剤上望ましい「Offthe-shelf」化には他家細胞の活用が必須であり、現在世界中が取り組んでいる。
 一方、もう一つの重要なエフェクターであるNK細胞については、長らくスタンダードな培養法が確立されておらず、臨床効果もほとんどみられていなかったものの、この数年で重要な成果が得られつつある。それはmemory-like NK(ML-NK)による治療抵抗性AMLへの高い奏功率(CR=約57%:Sci Transl Med. 2016)、及びCD19 CARNKによるCAR-Tに匹敵する奏功の報告である(N Engl J Med. 2020)。NKの利点は他家細胞でもGvHDの原因にならないこと、サイトカインストームを惹起しないことから、T細胞プラットフォームの「上位互換」になり得る可能性があり、近年欧米メガファーマを中心に、NK技術を持つスタートアップとの提携が続々と進みつつある。
 この世界の動向とは全く独立して、我々は12年程前より独自の培養系で得た特異な性質を示すNK「様」細胞(GAIA-102)を発見し、以下のデータを得た。
1)遺伝子発現パターンはPCA解析上「CAR-T≒GAIA-102≠NK・T」である
2)数点差異はあるものの、表面抗原及び機能的に「ML-NK≒GAIA-102」である
3)GAIA-102は特に腫瘍塊に対し極めて高い集積能と破壊能を示す
4)GAIA-102は、in vivoにおいて内因性CTLの増殖・腫瘍塊への集積を促進する
 
 2021年10月からの治験開始へ向け、非臨床試験を完了しGCTP製造を継続している。GAIA-102は14日間に一度培養液を追加するだけという極めてシンプルな閉鎖系培養技術として仕上げており、施設の制約が無ければ1ロット約60-300ショット程度の製造スケールを実現している。また一般にNKには凍結融解で細胞傷害活性が激減するという製剤化上の致命的な問題があるが(Nat Commun 2020)、我々は特許技術によりそれをクリアし、凍結剤を融解し点滴剤へ充てんするだけで投与可能となっている。
 本講演ではCAR-TとNKが固形がんに効きにくかった理由、そして我々のGAIA-102が有するCAR-Tに対する「上位互換性」を、そしてそのGCTP 製造のアウトラインを概説したい。


 


14:35 ‐ 15:20  「制御性T細胞の臨床応用」

演者:三上 統久 先生
大阪大学免疫学フロンティア研究センター / レグセル株式会社研究開発部長
 

≪講演概要≫
 

免疫系は自己に侵入した外敵を排除するための重要なシステムである一方で、そのバランスはきわめて繊細に制御されており、ひとたびバランスが崩れると強い炎症によってあらゆる疾患の原因となってしまう。そして、自己免疫疾患を始めとする炎症性疾患には難治性の症例が多く、より効果的な治療法として本来の免疫制御機構に着目したTreg細胞治療が注目されている。制御性T細胞、Tregは、免疫を抑制する機能を持つ特殊なT細胞集団である。生体内ではTregとそれ以外の免疫細胞がバランスを保つ事で生体恒常性を維持しているが、そのバランスが崩れた炎症病態に対して、Tregの機能や数を増やすという方法により、免疫バランスを正常に戻す事を期待した研究が進んでいる。本講演ではTreg細胞の役割やその性質を踏まえてTreg細胞を臨床応用する事の意義に着目し、その為の最新研究を概説する。また、Treg細胞治療の現状や課題を含めて、臨床応用に向けた取り組みを紹介する。


15:20 ‐ 15:30  全体質疑応答


15:30 ‐ 15:45  テクニカルセッション
細胞および遺伝子治療領域における自動化細胞製造システムの現況

演者:細山 剛 様|ミルテニーバイオテク株式会社 臨床開発部 部長


≪講演概要≫
当社ミルテニーバイオテク株式会社は、1989年創業以来磁気マイクロビーズによる細胞分離技術を研究領域へ提案して参りました。その後も、当該技術を事業軸としつつ、細胞の単離、分取、解析などの更なる水平展開を創出し続けており、世界に先駆けて上市しましたGMP関連試薬においては、特に欧米において、医療向け細胞分離機器CliniMACS Plusとの併用による、造血幹細胞移植などの臨床応用を果たしております。現在ではこれら細胞技術・事業ノウハウを集約、発展させた自動細胞製造機器CliniMACS Prodigyが、Cell & Gene Therapy(CGT)領域における新たな事業を展開するに至っております。昨今、悪性造血器腫瘍や固形がんの治療アプローチとして、CAR-Tを始めとする様々な細胞治療法が開発されていますが、今回、CliniMACS Prodigyを中心とした細胞治療や製造への当社事業の関わりや、今後の事業展望などについてご紹介させて頂きます。


 

15:45 - 16:00  メーカーセッション

オンラインオートサンプリング機能で更なる飛躍、細胞環境分析装置BioProfile FLEX2の紹介

演者:大渕 徹
ノバ・バイオメディカル株式会社  営業部
バイオテクノロジー営業グループ 西日本営業マネージャー

≪講演概要≫

細胞培養環境多項目同時分析装置「BioProfile FLEX2」にオンラインサンプリング、並びにサンプル分取システムの機能が追加できるようになりました。
オンラインサンプリングでは最大10台のバイオリアクター(ベンチトップ型還流培養槽、シングルユースリアクターなど)の接続が可能となります。
プログラミング制御で10台のリアクターの分析時間を設定でき、また任意のタイミングでコマンドにより手によるサンプリングの必要なく、分析が可能となります。
サンプル分取システム(Sample Retain Collector)ではリアクターからのサンプルの一部を、長期保管並びに他の分析方法に利用できるように分取します。これらの機能は今お使いのFLEX2にも増設可能です。


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