2020年9月29日(火) 13時 オンライン開催 
プログラム
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本セミナーは終了いたしました。たくさんのご視聴ありがとうございました。

13:00 - 13:05   ご挨拶および本セミナーに関するご案内


​13:05 ‐ 13:45   「動物細胞培養のこれまでとこれから―未来の生産技術とは」

演者:大政 健史 先生 | 大阪大学 大学院工学研究科 生物工学専攻 

≪講演概要≫

培養技術って進歩しているのだろうか?これは講演者の素朴な疑問である。生物の力を借りたものつくりのバイオテクノロジー:すなわちバイオプロダクションは、産業規模で行うためには生きた生体触媒である「生物」を大量に用いる必要がある。生きた「生物」を大量に用いるためには、当然のことながら、大量に生物を育てる:培養技術が必要になる。産業規模(農業を除く)での、これら生物の大量培養技術は、主に微生物の応用が主体となって開発されてきた。その歴史は、紀元前のビールやワインの醸造に遡るが、有用物質生産の反応を引き起こすという実態が、生きた「微生物」にあると判明したのは、比較的新しく18世紀の半ばになってからである。21世紀の現代、この生物によるものつくり「バイオプロダクション」は、微生物から動物細胞まで非常に幅広い生物をもちいて、化学品から医薬品、また、生物そのものを生産物とする場合まで、様々な産業に広がり、人類社会に欠かせない分野となっている。
中でも21世紀に入って特筆すべきバイオプロダクションの対象は、バイオ医薬品(バイオロジックス)への応用である。バイオ医薬品は、2005年に世界のベスト10医薬品に抗体医薬がランクインしてから、ここ10数年で、目覚ましい発展を遂げ、2017年には世界市場での医薬品売上高上位の大半を占めるまでに成長し、今後も医薬品市場の成長ドライバーとなることが予想されている。この生産には、動物細胞株が用いられる。株化細胞とは、もともと有限寿命である動物細胞が生体外に取り出されて培養しているうちに、生体であったころの機能の一部を失うものの無限増殖能をもち、あたかも微生物の培養のように、増殖させて増やすことができるようになったものを指す。遺伝子組換え技術の発達により、この株化細胞においても、組換え微生物のように、外来の遺伝子を組み込み、外来蛋白質を分泌生産させることが可能となっている。特に、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞株(CHO細胞)は、その使いやすさや、応用例の多さなどの理由によって、すでに上市されている50品目に近いFc融合タンパク質を含む抗体医薬品の生産宿主として活用されている。近年ではこれまで大腸菌や酵母での生産が想定されてきたFabやScFvのような小分子抗体医薬品においても利用されつつある。さらに、抗体に限れば10g/Lレベルでの生産濃度の実現も可能であり、様々なバイオ医薬品のプラットフォーム生産システムとしての地位が確立しつつある。本講演では、このCHO細胞を中心とした動物細胞培養に関するエンジニアリングについてこれまでの歴史を振り返りながら、未来の生産技術について考えたい。

 
※)参考サイト:公益社団法人 日本生物工学会
生物工学会誌 「特集 バイオ医薬品の製造技術研究開発:国際基準に適合した次世代抗体医薬等の製造技術プロジェクト」2019年6月号と7月号
下記より全文が無料で閲覧できます。
https://www.sbj.or.jp/sbj/sbj_vol97_no06.html (前編)
https://www.sbj.or.jp/sbj/sbj_vol97_no07.html (後編)

 


​13:50 ‐ 14:30  「EVs Therapyの現状と課題」

演者:落谷 孝広 先生 | 東京医科大学医学総合研究所 

≪講演概要≫

エクソソームとは、あらゆる細胞から分泌される直径100ナノメーター前後の細胞外小胞(EVs)の一種であり、脂質二重膜で囲まれたその内部には、mRNA, microRNA, タンパク質等の多くの情報伝達物質が内包されている。この小胞は、エンドゾームをオリジンとする機構で細胞外に放出される。エクソソームと受容する側の細胞への接着には、テトラスパニンが関わると考えられている。エクソソームの細胞への取り込みの際は、様々なエンドサイトーシス経路を通る可能性が示されている。それらはクラスリン依存的、非依存的な経路、カベオリンを介した取込み、マクロピノサイトーシス、ファゴサイトーシス、脂質ラフトを介した取込み、などである。また、直接細胞膜に結合する形で取り込まれた場合、エクソソームは微小管で核周辺に輸送される。エクソソーム内包物はエンドソームに融合することで放出されるが、タンパク質はリソソームに取り込まれ、その膜部分は細胞表面に戻されるという観察もある。EVsの代表格であるエクソソームの研究は、上述のように主にがんの分野において、疾患のメカニズム解明から診断、治療までの苛烈な競争が世界中で繰り広げられている。その一方で、近年多くの研究から間葉系幹細胞から分泌されるエクソソームが様々な疾患に対する治療効果を持つことが明らかとなり,新たな疾患治療薬としての開発が注目されている。こうしたエクソソーム治療薬の概念が広がるにつれ、世界の市場は大きくエクソソーム創薬に期待しており、エクソソーム関連産業は2025年には2億4,000万米ドル、日本円でおよそ260億円近くになると予想されている。特に再生医療の分野では、間葉系幹細胞や組織ステム細胞、そして免疫担当細胞に由来するエクソソームの治験が100以上も走っており、セル・フリー・セラピーを掲げる新しい治療が大きく臨床に近づく気配だ。さらに、新型コロナウイルスの予防、治療、後遺症の治療などにもこのEVsによる治療は効果がありそうだ。本講演ではエクソソーム診断・治療の最新の展開と、今後の創薬における課題を概説する。


 


14:35 ‐ 15:15  「臨床用iPS細胞の製造と品質管理について」

演者:塚原 正義 先生 | 公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団 

≪講演概要≫

免疫拒絶が起こりにくい臨床用のiPS細胞を低コストで提供することを目的に、我々は2013年に、「iPS細胞ストックプロジェクト」を開始した。これは日本人の約90%をカバーする140種のHLA型を持つiPS細胞を製造し、保管しておくプロジェクトである。自家iPS細胞の製造に比べて、費用と時間を大幅に節約できると期待される。臨床用iPS細胞を製造する施設として、FiT (Facility for iPS cell Therapy)を京都大学iPS細胞研究所内に整備し、2015年に再生医療等安全性確保法に基づく細胞培養加工施設として日本初の許可を取得した。これまでにHLAをホモで持つ7人のスーパードナーから27種のiPS細胞を確立し(日本人の約40%のHLA型をカバー)、営利機関向けには、セルバンクを1本10万円で提供している。
ゲノム編集技術が進んだことにより、先の目標を修正し、日本人だけでなく、世界中の多くの人に対応できるように、HLA-A, B、及び、ClassⅡをノックアウトしたiPS細胞の製造を今年度から開始し、来年には上記HLAをノックアウトした最初の臨床用iPS細胞のマスターセルバンクの提供を開始する予定である。
加えて、自家由来のiPS細胞を安価で提供できる「マイiPSプロジェクト」を開始し、閉鎖型培養装置による少量多品種製造や、画像解析など非破壊での品質管理、変異の少ない培養方法の開発といった技術開発を進めている。また、年間1000細胞を製造可能な細胞加工施設の整備も行い、現在4000万円程度必要な製造コストを削減し、2025年3月には、100万円で自家iPS細胞を提供することを目指している。
本発表では、臨床用iPS細胞の製造・品質管理について、これまで我々が取り組んできた事例と今後の展望を述べるが、非破壊での細胞の品質管理、製造工程の管理として、培地分析のオンラインモニタリングへの期待を紹介したい。
上記の情報は、財団WEBサイトで公開し、iPS細胞を用いた臨床応用の情報発信に努めている。

https://www.cira-foundation.or.jp/j/index.html



 


 

15:20 ‐ 16:00  「細胞製造における分析技術の活用」

演者:紀ノ岡 正博 先生 | 大阪大学 大学院工学研究科 

≪講演概要≫

細胞培養中の種々の計測は,細胞状態・培養状態を把握するうえで重要な事項であり,細胞特性を直接把握するための細胞計測と細胞周りの情報を間接的に取得する環境計測と分けられます.細胞計測は,細胞状態や培養状態を直接把握できることが多く,空間的,時間的な分解能が高い方法となります.多くは襲撃的な手法であり,培養中のモニタリングには適しておらず,非侵襲的な細胞計測として,細胞形態観察があるにとどまっております.よって,再生医療に資する細胞製造の工程管理に適用するうえでは,製造に影響を及ぼさない手法が要求されており,細胞計測の技術や使用機会は限られており,環境計測も必要となります.
本講では,細胞製造における細胞計測を細胞形態観察を主として紹介します.また,環境計測の中でも培地成分測定技術に着目し,私どもの培地成分計測の経験をもとに,細胞状態・培養状態の把握に対する培地計測の可能性について紹介します.




 


16:05 ‐ 16:25  協力会社セッション  :ザルトリウス・ステディム・ジャパン

「代謝物モニタリングを完全自動化したマイクロバイオリアクターシステム
        -BioProfile FLEX2とAmbrシリーズの最強タッグ Part 2-」

演者:五十嵐 聡 ( ザルトリウス・ステディム・ジャパン株式会社  営業部)      

≪講演概要≫
数mLから数百mLの容量、多連、そして自動化を達成したマイクロバイオリアクターシステムがバイオ医薬品から再生医療等製品の開発まで存在感を一層高めている。
ザルトリウス・ステディム・バイオテックが誇るAmbr(アンバー)シリーズ(Ambr 15とAmbr 250)は8割以上のマーケットシェア率を保持し、業界標準のシステムとしての地位を確立している。

培養プロセスはAmbrシステムとリキッドハンドリングロボットが管理・制御を行なっている。一方で日々のモニタリングが必要な細胞数・栄養源・代謝物・その他のパラメータはロボットがサンプリングしたものをオペレーターが分析装置に運び、解析する手間が自動化の加速を妨げていたがBioProfile FLEX2とAmbrシリーズの組み合わせにより氷解した(2019年 同ミーティングの弊社発表内容)。
日本においても培養の自動化を狙いとして、この1年で着実にその実績が増えており、ソリューションとして標準化されてきている。

本講演ではとくに数年後に来たる培養の高密度化、連続化のアプリケーションを中心にBioProfile FLEX2とAmbrの組み合わせの有用性を様々な角度から評価していく。



 

16:30 - 16:50  メーカーセッション:ノバ・バイオメディカル



 

ノバ・バイオメディカル株式会社
〒108-0073 東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル

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